「イスラーム指導者がユダヤ人に原理主義者に慎重になるよう促す」という題目は好奇心を引くが、それは『ボストン・グローブ』紙上の息を呑む話の引用である。北米イスラーム会の会長でワッハーブ主義の護教家のイングリッド・マトソン(「ワッハーブ・ロビー」の重要な構成員)が、3月12日にハーヴァード大学で語り、アメリカ系ユダヤ人に、嘆願されていない幾つかの助言を与えた。「右翼のクリスチャン達は、アメリカ系ユダヤ人にとって非常に危険な同盟です。なぜならば、彼らは本当に反セム的だからです。ユダヤ人が好きではないのです」。それ故に、ユダヤ人は福音派や他の親イスラエル派クリスチャン達から離れるべきだと、彼女は含みを持たせた。
北米イスラーム会の会長イングリッド・マトソン |
多くのアメリカ系ユダヤ人は「イスラエルに対する、どういうわけか(ムスリムが)脅威だという実存的な不安」を持っていると、彼女は付け加える。あまりにも猛威を振るっているので、1930年代のナチ・ドイツでのそれに擬えるムスリム間の反セム主義を考慮すれば、なぜそれが問題であるべきなのか不思議だ。ほとんど手当たり次第だが、ここに手元の声明がある。2000年のモロッコの主導的なイスラミスト思想家のアブデルサラム・ヤッシーヌからだ。
ユダヤ人は敵の化身である。彼らはモロッコからパレスチナ、西洋帝国主義までの世界の邪悪さの多くと、親しくつながっている。ユダヤ人は、世界とムスリムの救い難い状態に責任を担う現代人の、まさに心理を人格化し、例証化する。
ダニエル・パールはパキスタンで断頭された。イラン・ハリミはパリで拷問され、殺害されている。マフモード・アフマディーネジャードは、イスラエルに地図から抹消されることを欲して、これをするために、核兵器を造っている。そして、ユダヤ人は、その全てを脇へやり、ハーヴァードでマトソンが語ることから発している甘美な調子に耳を傾けるべきなのか?
そして、もしアメリカの諸大学でムスリム達が言っていることに自分を制限するならば、再び、今年の初めに私が語ったカリフォルニア大学アーバイン校の講堂の外で、マトソンの仲間のイスラミスト達に叫ばれていたものは、何だったのか?「イスラエル国家が地上から抹消されるのは、ただ時間の問題だ」。
そして、イスラエルにとってのクリスチャン・シオニズムの価値に関して、私は(「(クリスチャン・シオニズム)イスラエルの最善の武器か?」で)このように述べてきた。「イスラエル国防軍の他に、アメリカのクリスチャン・シオニストが、ユダヤ人国家の究極的な戦略資産であるかもしれない」。
[コメント]
(1) ワッハーブ派は、厚かましいのでなければ、何者でもない。
(2) マトソンのクリスチャンを巡る総体の特徴化は、イスラミストの反キリスト教主義と私が呼ぶものの、増大パターンに合致する。
(2007年3月14日記)