ちょうど午後の一時を、外交問題評議会のグループと過ごす機会を持ったばかりだ。フロリダ州タンパにあるマクディール空軍基地の合衆国特殊作戦司令部(SOCOM)でのことだ。司令官は有名な提督ウィリアム・H・マクラヴェンで、スタッフに引き続いて、ブリーフィングを始めた。
合衆国海軍特殊部隊、精鋭部隊、その空軍や海軍について学ぶことを、私は期待していた。84ヶ国における、この67,000強の司令作戦の功績について、ひょっとしたら、オサマ・ビン・ラディンをやり込めたことさえ聞くだろうと思っていた。だが、そうではなかった。その代わり、彼と将校達は、「信頼を揺るがすことはできない」という司令官のモットーで始めつつ、新たな任務について長々と語った。
オンラインではない特殊作戦部隊の小冊子『概念操作』の表紙 |
誇張した言葉のために、それが明白になるには幾ばくか時間がかかったが、外交問題評議会のグループに手渡された特殊作戦部隊(SOF)用の『概念操作』から、鍵となる一段落がここにある。
『特殊作戦部隊の概念操作』は、あるかもしれない-2020年とそれ以降にかくあるべきごとく、特殊作戦部隊の遺産の本質を捉えている。我々の敵を見つけ、捕まえ、あるいは殺すための対テロ作戦を行うことによって、特殊作戦部隊が主として大規模な緊急対応作戦を支援した時、当の概念は、21世紀の最初の十年を超えて動いている。国家に対する偉大な価値があるものの、これらの作戦は、一度も決定的であるべく意図されたことがなかった。地域戦闘司令部と任務チーフの支援で、グローバル特殊作戦部隊ネットワークを通して軍事行動を取りつつ、今や特殊作戦部隊は、関連住民を理解して影響を与えるために、省庁や外国のパートナーを経由して協働することによって、戦略結果を達成するための機会を得ている。
英訳は、こう言っている。
特殊作戦部隊は、かつてアメリカの敵対手の捕獲か殺害に関するものであった。新たな任務は、世論形成である。
あるいは、『概念操作』の箇条書きの言葉に、目標は「致死技術と同レベルまで、特殊作戦部隊の非致死の技術を向上させること」とある。これは、同程度に過激な移行なので、少なくとも私は理解できた。以下のグラフィック「戦略評価―2.0」ほどではない。それは、私には全く意味をなしていないが、我々のブリーフィングの大半のために、大フロアの上に映されたものだ。
この地図のフルサイズ版はここをクリック。初期版、つまり『戦略評価-1.0』はここをクリック。 |
[コメント]
(1) この特殊部隊の指導者層が、本当の任務を議論することから一般を逸らすために、この資料を本当に信じているのか、あるいは、口だけ動かして伝えているのかどうか不確かなまま、私はこのブリーフィングから去った。
(2) もしそれが真摯なら、私は将来の防衛を懸念する。
(2014年3月23日記)
2014年3月23日補遺:マイナーな点だが、カクテルのナプキンに殺人マシーンの図案を浮き彫りにしたのは釣り合わないと思うのは、私だけなのか?
2014年3月26日追記:以下の短信が、国防総省の合衆国統合特殊作戦軍の広報担当から今日来た。
パイプス殿
週末「コーナー」に投稿された論説を拝読いたしました。去る金曜日に合衆国統合特殊作戦軍(USSOCOM)をご訪問なさった時、私は貴グループにブリーフィングをいたしませんでしたが、お書きになられたものに基づきますと、幾ばくか混乱があるように思われます。望むらくは、文脈を付与し、幾つかの状況を明確にする情報を提供できるかと存じます。
『概念操作』からの引用が残したご印象にも関わらず、国の敵を殺害あるいは捕獲することは、長期間、合衆国特殊作戦軍の全焦点ではありませんでした。自己防衛用に提供される能力の立ち上げのためのパートナー諸国や地元の軍隊との協働は、合衆国特殊作戦軍にとっての新たな任務では決してありません。あの任務は、特殊作戦軍からその行数を跡づける組織の一つである、合衆国軍特務機関の、少なくとも第二次世界大戦まで遙かに遡ることができます。陸軍特殊作戦部隊(グリーン・ベレー部隊)は、ゲリラ軍を作るために地元集団と協働する不正規戦の特別な使命を帯びて、1952年に樹立されました。不正規戦に要求された技術は、パートナー諸国とうまく仕事をするために要求されるのと同じ技術です。彼ら自身の防衛を提供する能力を作り上げる助けをするためです。特殊作戦部隊は、パートナー諸国と協働し助けるという長い歴史を持っています。
9.11前、合衆国統合特殊作戦軍は世界中に配置された大人数を保持しました。配置された特殊作戦軍の兵士や船員や飛行士の大半は、彼ら自身の防衛を提供する能力を建て上げるために、援助パートナー諸国と協働しつつ、あるいはパートナー国の特殊部隊編制との訓練演習に参加しつつ、海外の内部防衛任務を行っていました。合衆国特殊作戦編制は、陸軍師団や幾つかの特殊部隊編制や合衆国海兵隊総軍の幾つかの要素や空軍特殊作戦司令のように、パートナー諸国と協働するよう格別に計画されており、上級の訓練レベル、言語能力、文化知識を保有し、世界の特定地域を志向する編制を持っています。それらの編制は、志向する特定地域を持つので、習慣的に当該地域諸国へ配属されます。非公式の特別な任務ネットワークを作った相手側のパートナー国との関係を展開させるために、同じ諸国へ繰り返し配属することを合衆国特別オペレーターに許しました。
9.11後、統合特殊作戦部隊の主な強調は、外国の内部防衛から、奇襲や偵察等のような戦闘活動という、もっと直接的な行動へと移行しました。強調における変化にも関わらず、コロンビアやフィリピンのような地で、パートナー国の任務能力を作り上げる特殊作戦部隊編制がまだありました。当初の戦闘活動が完了した後、特殊作戦部隊編制の大半は、同時にイラクとアフガンの特別部隊編制を作り上げつつ、イラクとアフガニスタンの両方で直接行動任務を行い始めました。合衆国統合特殊作戦部隊は、イラクとアフガンの特殊作戦部隊用の訓練プログラムを開発し、査定や選別を施行しました。米国特殊作戦部隊は、イラクとアフガンの特殊作戦部隊編制と共に、イラク特殊作戦部隊が全特殊作戦部隊任務を導いた点へ達するために、徐行、徒歩、走行戦略を行使しました。イラクとアフガンからの合衆国の撤退前に、現在、特殊作戦部隊は、アフガニスタンにおける全特殊作戦部隊任務を率いています。
イラクとアフガニスタンの特殊作戦部隊に対する要求のために、アメリカ太平洋軍や欧州軍などのように、地域統合軍団は、当該地域で彼らが訓練を欲した特殊作戦部隊を得たり、諸国と協働したりはしていませんでした。イラクで任務がちょうど終わった時、アフガニスタンで削減されている時、特殊作戦部隊の留保需要のために、その大多数がまだ配備されるだろう、と合衆国統合特殊作戦軍は知っていました。彼らは留保需要に合わせるために配備されるでしょうし、第一義の焦点は、再度、パートナー国の任務能力を作り上げることです。
合衆国の防衛予算がカットされて軍事がより小さくなるにつれて、合衆国の防衛戦略にとって、パートナー諸国の重要性は増大するでしょう。合衆国にとって、将来どれほどパートナー諸国が重要かをマクラヴェン提督は認識し、"You can't surge trust."という表現を作り出しました。意味するのは、パートナー諸国との関係は、信頼に基づくものであるということです。我々は、緊急事態が発生することを待てないし、一晩でパートナー諸国との信頼や関係を作り上げることを期待できません。今が、その信頼とそのような関係を作り上げる時なのです。
特殊作戦部隊の非公式のネットワークが、長期間、決まった場所にあったので、パートナー諸国と信頼を作り上げる基盤として、そのネットワークを用いることができ、現在の通信技術で、ネットワークをもっと強い基盤にするための公式化が可能となります。
この全ては、合衆国特殊作戦部隊が武器を止めて、直接、もはや動力学や作戦を指揮する軍を持たないことを意味するのでしょうか?どれほど想像をたくましくしても、そうではありません。合衆国特殊作戦部隊は、世界首位の対抗テロ能力を有し、その能力を維持することでしょう。追加しますと、残りの軍は2001年9月に証明しました。国家が変化を必要とするのと同程度に迅速に焦点を変え、直接、うまく動力学や作戦を指揮することができます。
ご提供いたしました情報が、幾つかの事柄を明確にし、合衆国特殊作戦部隊の将来に関してお持ちかもしれないご懸念を緩和するよう、希望いたします。もし何かご質問がおありでしたら、どうぞ遠慮なくご連絡ください。
敬白
合衆国特殊作戦司令部
広報担当官
ケン・マクグロー
私の返答:
よい点が幾つかあるので、我々部外者には、そのブリーフィングで、マクグロー氏がここでしたような話題が導入されるべきでした。例えば、特殊部隊と特殊作戦部隊の間の重要な識別が強調される必要がありました。その代わりに、ブリーフィングをした人々は、我々を一様に、当惑で頭をひっかかせた抽象的かつ技術的な分析で始めたのです。
「グリーン・エコノミー」や「気候変動」に関して、上記に掲載したバブル・グラフィックの説明をお待ちしております。
2014年3月27日追記:合衆国特殊作戦部隊になじみのある人が、上記で私が引用した鍵の文を解析してきた。ここで彼の説明を提供する。
マクラヴェン提督とスタッフは、貴方に影響を与える意図を持っていましたが、確かに誤導はしませんでした。厄介なのは、彼らと我々が、他の皆にも意味をなすと憶測する我々の言葉に慣れたことです。それに加え、大変有名な四つ星司令官なので、意味をなしていないと彼に言う人々に、しばしば取り囲まれていないことです。
提督が完遂しようとしていることを私は非常に支援していますし、見聞し、読んだものを説明する洞察の提供を喜んでいます。手始めに、提供された鍵となる引用中、七つの鍵表現にアンダーラインを引かせてください。
地域戦闘司令部と任務チーフの支援で、グローバル特殊作戦部隊ネットワークを通して軍事行動を取りつつ、今や特殊作戦部隊は、関連住民を理解して影響を与えるために、省庁や外国のパートナーを経由して協働することによって、戦略結果を達成するための機会を得ている。
グローバル特殊作戦部隊ネットワーク:どこで発生しようとも、いかなる脅威に応答するために我々の特殊作戦部隊の能力を作り上げる、マクラヴェン提督が促進した概念。これは、ポスト・イラク/アフガニスタン環境に応答するために、自ら再編成している合衆国特殊作戦軍です。浮上すれば、危機に応答するか、発生する前に危機を防御するよう設計されています。ネットワークは全特殊作戦部隊を含み、連邦諜報機関と連邦法執行機関と外国のパートナーと同様、人員を支援します。
地域戦闘司令部(GCC):戦闘司令部の四つ星司令官(欧州地域担当軍(EUCOM)中東地域担当軍(CENTCOM)中南米地域担当軍(SOUTHCOM)アジア太平洋地域担当軍(PACOM)アフリカ地域担当軍(AFRICOM)北米地域担当軍(NORTHCOM))。全特別作戦任務を含むために、世界の特定地域内で起こす軍事作戦は、世界の当該地域担当の四つ星司令官に管理されています(「所有された」と解される)。配備されると、特別作戦は、当該地域担当の地域戦闘司令部の司令官の部下です。
任務チーフ:これは大使を指します。当該国での軍事活動を含めるアメリカの諸活動全部は、究極的には大使の責任です。合衆国軍は、戦争宣言以外に、世界で作用する権威をほとんど持っていません。合衆国の軍事現存に開かれた大使というものは、国内で作用する合衆国軍事を許可するでしょう。特殊作戦部隊と同程度の人数の大使達への接近を拡大することは、達成がかなり容易になる危機への応答で、特殊作戦部隊との積極的なラポールや柔軟性を作り上げることができます。
戦略結果を達成する:これは鍵となる概念です。「国家に対する偉大な価値があるものの、これらの作戦は、一度も決定的であるべく意図されたことがなかった」という引用は、特殊作戦部隊の捕獲ないしは殺害の役割を指します。それは、唯一の特殊作戦部隊の一側面ですが、直接行動と呼ばれるものです。海軍特殊部隊は、オサマ・ビン・ラディン殺害を通して真夜中に急襲する直接行動任務です。実際、まさに戦術作戦の定義です。特殊作戦部隊は、この課題をこなすために、特に二つの戦域での十年程の経験の後、信じられないほどよく訓練されています。
しかしながら、特殊作戦部隊は、提督が述べたように、決定力があることを意図しました。一人の男を殺すことは、紛争を解決はしません。
より微妙な違いのある特殊作戦部隊の側面は、ほとんど役割を得ない、(直接行動と比較すれば)不正規戦(UW)です。不正規戦を行う特殊作戦部隊の選択は、特殊部隊(SF、あるいはより一般的にグリーン・ベレーとして知られている)です。特殊部隊は、米軍の対反乱ゲリラ活動の専門家なのです。
不正規戦は、ノルマンディで我々が侵攻する前に、フランスでの我が経験から生まれました。その時、特務機関(OSS)[ CIAの前身]は、フランスのレジスタンスを支援するために、ヴィシー政権のフランスに落下傘で降り立った幹部人材を訓練しました。それらの経験は、少なくとも軍事側では、第10特殊部隊(SFG)の発展へと導きました。西欧へのソヴィエト侵入という出来事の中で、彼ら自身の路線の背後でソヴィエトと戦うため、専門家レベルの言語技術と同様に、軍事技術(武器、工学、通信、医療等)を持った第10特殊部隊人員が、背後に留まり、地元の反乱兵と連結したものでした。
彼ら自身、直接行動を行うために訓練されてはいるものの、不正規戦の背後にある考えは、定義された敵に対して作戦を行うために、代理人(反乱兵)を使うことなのです。特殊作戦部隊(SF)は彼らを訓練し、供給し、直接作戦を助け、ネットワーク展開する助けをしますが、もし可能ならば、敵意の中で活発に参加するまでには至らないように努めています。
今日、不正規戦やマクラヴェン提督の展望と何が関係あるのでしょうか?もし、特殊作戦部隊が、ただテロリスト達を殺す真髄の専門家であるよりも、戦略結果を達成することを望んでいるならば、作戦を拡大しなければなりませんし、21世紀の現代の環境で、特殊作戦部隊の適用をどのようにまなざすかです。
最も恐らく我々が直面するであろう脅威は、公職権を奪われた住民達、汚職ある政府、統治されない空間、あるいは無能の治安組織を典型的に浮上する反乱でしょう。
最も一般的な対反乱作戦は、外国国内防衛(FID)です。特殊作戦部隊の多くの男達は、対反乱戦術における軍事訓練のために外国へ送られます。これらの外国軍兵士達を訓練する最中で、我々もまた、彼らとのラポートを形成しています。その確率は、これらの兵士達がランクにおいて上昇するほど、高くなります。
もし我々が関係を維持するならば、現場で何が起きているかの知識を専門家レベルに持つ親米の上級軍事人員を、当該諸国において持つでしょう。それは、我々がほとんど知識なしに危機に応答し「飛行中の飛行機を造」らなければならないことを防御します。これが戦略結果を伴う戦略投資なのです。
省庁パートナー:これは通常、合衆国の諜報共同体と連邦警察当局を指します。「省庁間」は、一緒に作戦を行う異なった当局を持つ連邦機関の集合です。共通の対象に向けて協働することは、我が国をよりよく守り、海外の危機を防衛するか鎮静するために、異なった機関(国土安全保障省(DHS)、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)等)に利用可能な情報と能力を統合します。
秩序立った煩雑な手続きをするために諸問題が我々を待ってくれないので、その情報を特殊作戦部隊の情報に加え、我々の決定作成者達の充分なツールキットが連邦政府の能力をまとめるために、特殊作戦部隊は、連邦捜査局や中央情報局や国家のような機関に依存することによって、先んじることを目指します。これは、多様な事柄を意味することができます。
- テロ支援者を特定化するよう国庫を援助すること。そうすれば、テロ支援者達の資産を凍結できる
- どこで地元の政府が壊れているかを特定化し、諸条件を改善するために国際開発庁を許可すること
外国のパートナー:外国の特殊作戦部隊の軍。特殊作戦部隊は、イラクとアフガニスタンでの海外特殊作戦部隊の将校達と並んで、何年も協働して過ごしてきました。特殊作戦部隊の対象のように、多くは省庁間の対象と一致します。外国パートナーは、我々と同一問題の多くを懸念します。もし世界のどの国でも問題が浮上するならば、もし充分なアクセスをそこで持っていないならば、もし、諸問題が発生していない時でさえ、関係を維持するならば、我々がパートナーを組む誰かがするのです。
関連住民への影響:通常の軍隊の幾つかの部分、特殊作戦部隊の幾つかの部分、別の米国諜報機関、外国のパートナー、あるいは、その人と過去の特殊作戦部隊の関与を通して、世界でラポールを持っている人に影響を与える必要があるかどうか、特殊作戦部隊の目標を支援するために、我々は積極的に影響を与えたい。それがグローバル特殊作戦部隊ネットワークを発展させる展望なのです。