国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、(反シオニズムの態度とパレスチナ人達を永続的な難民の地位に置き続けるという)二つの方法で、イスラエルの権益を損なうかもしれない。じっと観察している者は長らく知っていることだが、イスラエル政府は、起こるかもしれない崩壊に直面するよりも、UNRWAに資金を供給し続ける方を望んでいる。
しかしながら、この認識は抽象的なものだった。誰も資金供給をカットしなかったので、イスラエルの応答を正確に知る者はいなかった。
さて、『大使館』誌に掲載されたリー・ベルティアウム氏の「イスラエルはカナダに国連パレスチナ難民機関へ資金援助する件で決定をくつがえすよう要請した」から我々は知ることになったが、今やそれが起こってしまい、エルサレムは抵抗したのである。
カナダの納税者達は、1950年以来、UNRWAに金を支払ってきた。最近では、年間1000万から1500万カナダ・ドルに上る。しかしながら、2009年に、オタワはこの資金援助を終結した。有効性という理由のためである。すべての資金を、西岸とガザの緊急要請、すなわち主として栄養補給に切り替えたのだった。
一年以上、多くの人々は疑っていた。中東のパレスチナ難民を助ける責任のある国連機関に対して、直接の予算支援の提供を中止するというハーパー政権の決定は、イスラエルの催促でなされたのではないか、と。しかしながら、新たに出されたカナダ国際開発機関(CIDA)の文書類は、イスラエルが、緊急食糧援助に資金を出すことに焦点を当てるという昨年の決定をさし戻すためにカナダで活発にロビー活動する、多くの国々の一つであったということを示しているので、その意見をくつがえすように思われる。
2010年8月24日付文書では「対象を定めたこの資金についての公知は、その地域の国々から多くの反応を挑発してしまった」と読める。「そして、米国とイスラエルと国連事務総長との議論で、カナダは、一般基金の資金供給を再開するよう求められていた」。
圧力の下で、ハーパー政権はUNRWA に資金を出すことに戻ってしまった。西岸へ500万カナダ・ドルを、ガザへ1000万ドルを送るという。
[コメント]イスラエル政府、特に占領地区における国防省の政府活動コーディネーターがUNRWA への支払いを継続したいということは、気が遠くなるほど近視眼的ヴィジョンであることが指摘できる。また、戦略目標を欠きながら、持ち上がる危機と取り組みつつ、イスラエルの指導者層が漂流しているという、私のもっと大きな議論と合致している。
(2011年7月6日記)
2011年9月15日追記:イスラエル政府もまた、パレスチナ自治政府への援助を擁護するということは、注目する価値がある。もし国連で国家としての地位をパレスチナ人達が催促するならば、年間援助のうち約50億ドルの削除をしようと米国上院議員達が企図している時に、イスラエル政府は、パレスチナ人達へ援助を継続するよう、国際社会に促しているのだ。木曜日のイスラエル政府のウェブサイトは、パレスチナ自治政府が既に、部分的には援助ドナーが低下したために、経済的、財政的な災難に直面しているという報告を掲載している。
イスラエルは、パレスチナ自治政府の予算と開発プロジェクトのために、継続した国際支援を要請している。そのプロジェクトは、国内歳入をもたらす拡大基盤をパレスチナ自治政府に提供する、力強い民間部門の成長に貢献するだろう。経済の減速は、主として援助ドナーの低下のため、そして、不足額を融通する銀行制度からローンを得る能力欠如のために、現在、パレスチナを苦しめている財政危機にもっぱら帰すことができる。