[注:『ワシントン・タイムズ』紙の題「欧州の将来を舵取りして:大陸の運命を決定するであろうイスラーム暴力」]
スウェーデン・ストックホルム発-北欧のほぼ全ての都市の外部で浮上している、ムスリムが優勢な郊外への訪問では、一つの問いが循環し続けている。なぜ、世界で最も豊かで、最も教育があり、最も世俗的で、最も穏やかで、最も均質的な諸国の幾つかが、事実上、最貧で、最も近代的でなく、最も宗教的で、最も安定していない国々から、喜んでどの移民にも門戸を開いてきたのか?
他の問いが続く。なぜ、大方はキリスト教諸国が、大方はムスリムの移民を取り込む決定をしてしまったのか?なぜ、それほど多くのエスタブリッシュメントの政治家、最も顕著なところではドイツのアンゲラ・メルケルは、移民が永久に欧州の顔を変えていることをますます懸念するこの人々を無視し、罵るのか?なぜ、より弱いヴィシェグラード東欧諸国が、この現象の拒絶を愛国的に明確に述べ始めているのか?移民はどこへ導くのだろうか?
2016年10月、無国境のシェンゲン地域を一時的に無効にしているコペンハーゲン中央鉄道駅の標識(写真提供:ダニエル・パイプス) |
多くの国々に当てはまる単一の答えはない。だが、この歴史的に先例なき異民族受容の背後の(世俗化のような)多くの要因を巡って、最も決定的に重要だと傑出しているのは、西欧人の罪悪感である。
多くの教養ある西欧人にとって、その文明は、科学上の前進、先例なき繁栄度、人類の特殊な自由の到達が殆どなく、植民地主義、人種主義、ファシズムはもっと多い。暴虐なフランスのアルジェリア征服、ユダヤ人に対する特殊に邪悪なドイツのジェノサイド、極端なナショナリズムの遺産が、フランス知識人のパスカル・ブリュックネルの分析では、貧困から環境の強奪まで、あらゆるグローバルな問題に責任があると、自身を「惑星の病める人」と多くの欧州人が見なす原因となる。つまり、「どこへ行こうとも、白人男性は悲痛と荒廃を撒いてしまった」のだ。裕福さは盗みを含意し、色白の肌は罪深さを明示するのだ。
本稿用の『ワシントン・タイムズ』紙のイラスト |
ブリュックネルはこれを「罪悪の暴君」と名付けたが、このような自己憎悪を巡る最近の旅行の間、私は色彩豊かな表現に出くわした。フランスのカトリック司祭は、教会の記録を巡って悔恨を表明した。ある保守的なドイツの知識人は、同胞のドイツ人よりもシリア人やイラク人を好んだ。スウェーデンの旅行ガイドは、仲間のスウェーデン人をこき下ろし、その一人だと認識されないことを望んだ。
本当に、多くの欧州人は、罪悪がより卓越していると感じている。自分達を嫌いになればなるほど、彼らが得意になればなるほど-自己嫌悪と道義的優越性の奇妙な混交を鼓舞しつつ、他の結末の中で、子どもを持つために要求される時間と金に関与することを躊躇させたままにする。「欧州は自分への信仰を喪失しており、出生率は崩壊してしまった」と、アイルランドの科学者であるウィリアム・レヴィルは記す。
進行中の破滅的な出生不足は、実存する人口動態の危機を作り出してきた。2014年時点で、たった1.58人の子どもを持つ欧州連合の女性で、大陸は子孫そのものを置換することに欠けている。時を経て、この遥かにより少ない置換率は、ポルトガル人、ギリシア人、その他の民族の人数における急勾配の低下を意味する。福祉国家と年金マシーンを維持するためには、外国人を輸入することが必要とされるのだ。
2014年時点での欧州女性の繁殖率の合計(出典:ユーロスタット) |
これら二つの動因-償っている罪悪感と置換している子どもの非存在-は、その後、フランスの著述家ルノー・カミュが「大置換」と呼ぶ、非西洋人の大量流入を組み合わせて、奨励する。英国の南アジア人、フランスの北アフリカ人、ドイツのトルコ人、それにソマリア人、パレスチナ人、クルド人、アフガン人が、至る所で人員配置の経済雇用の見通しを差し出すにも関わらず、欧州の歴史的な罪を巡って無知を主張することができる。アメリカの著述家マーク・スタインが述べるように、「今やイスラームは新たな欧州人の主な供給者である」。
エスタブリッシュメント、あるいは私が6つのPと呼ぶもの(政治家、警察、検察官、報道、教授、聖職者)は、結局、全てのことが素晴らしくなるだろうと、概して主張する。クルド人は生産的な労働者になるだろうし、ソマリア人は素晴らしい市民に、イスラミストの諸問題は溶け去るであろう。
それは理論であって、時には機能する。しかしながら、あまりにも遥かに屡々、最も明確にはジェンダー関係によって明らかになったように、ムスリム移民は、新たな故郷の欧州文化に打ち解けないままか、あるいは拒絶する。非ムスリムを暴力的に攻撃する者もいる。また遥かにあまりにも屡々、熱心に働く技能や動機づけに欠け、あるいは経済依存に終始する。
特定するためにDNAスプレーの下に来るだろうと盗人に警告するアムステルダムの標識(写真提供:ダニエル・パイプス) |
統合していないムスリム人の流入は、過去千年の欧州文明が生き延びられるかどうかという深い問いを起こす。英国はロンドニスタンになり、フランスはイスラーム共和国になるのだろうか?エスタブリッシュメントは、極右派、人種差別者、ネオ・ファシストだと振る舞いつつ、このような諸問題を取り上げる人々を酷評し、却下し、傍流化し、陶片追放し、抑圧し、逮捕さえする。
それでもなお、イスラーム化の見通しは、伝統的な生活様式のために戦うよう、ますます多くの欧州人に促す。その指導者達は、故オリアナ・ファラチのような知識人、小説家のミシェル・ウエルベック、ハンガリーの首相であるヴィクトル・オルバーンのような政治家、最も人気のあるオランダの政党の党首であるヘルト・ウィルダースを含む。
反移民政党は、例によって投票の約20パーセントを勝ち取っている。そして、彼らのアピールがその辺りに留まるだろうというコンセンサスが浮上してきた一方、恐らく30パーセントに達しつつ、充分成長し続けることができるかもしれない。世論調査では、非常にかなりの多数派がイスラームを恐れており、移民効果、特にムスリムの移民を止めて、元に戻したがってさえいることを示す。この光のうちに、ノルベルト・ホーファーが最近、オーストリアで50%の票を勝ち取っていることは、潜在的に主要な突破口を体現する。
2016年9月のパリの通りのマットレス(写真提供:ダニエル・パイプス) |
欧州が直面している最大の問いは、エスタブリッシュメントあるいは大衆の誰が、大陸の将来を操舵するだろうかということである。イスラミストの政治暴力の程度が、恐らくこれを決定するだろう。(2015年1月以来、フランスでのように)短期間に注目を浴びた大量殺人は、人々の向かう分野を傾転させる。その欠如は、エスタブリッシュメントに当事者のままであり続けることを許す。皮肉にも、その後、移民の行動が専ら欧州の運命を形作るだろう。
・パイプス氏(DanielPipes.org, @DanielPipes)は中東フォーラム会長である。© 2016 by Daniel Pipes. All rights reserved.