チャールズ・クラウトハマーは、『ワシントン・ポスト』紙のシンジケート・コラムニストで『タイム』誌のエッセイストである。彼は、病院の精神科医、合衆国政府の科学補佐官、ウォルター・モンデール副大統領のキャンペーン・スピーチ・ライターとして、経歴を始めた。1981年から88年までの七年間、『新共和制』誌のエッセイスト兼編集者だった。1985年にエッセイを集めた『最前線』(Cutting Edges)を出版した。1987年にはピューリッツァー賞を勝ち取った。1994年10月6日に、このインタビューをダニエル・パイプスが電話で行った。サッダーム・フセインがクウェート国境に軍隊を送り、イスラエルとヨルダンの和平条約の合意に至った直前だった。
和平プロセス交渉
MEQ:アラブ・イスラエル和平プロセスで始めましょう。それは成功ですか?
チャールズ・クラウトハマー(以下「クラウトハマー」):そうですね、私の楽観的な見解を提供いたしましょう。月曜日と水曜日と金曜日に持つものです。イスラエルとPLOの合意は、成功するために、共存に至るプロセスにパレスチナ人を引き込まなければなりません。私の印象では、パレスチナ政治は徐々に合意に飼い慣らされています。非常にしっかりと出来事を見て、状況がどのようにかなり理性的な連続で一つの段階から別の段階に行っているのがわかる時、私は楽観的です。
人々は、アラファトが今はガザの市長だと言っています。まだ構造的な用語への翻訳を見ていない反面-樹立されつつある機構、イスラエル人が意図したように、パレスチナ人はその過程の漸進主義に引き寄せられているという感覚があります。もしそれが継続するならば、それは、隣り合って暮らしている二つの普通の人々の間で、通常の関係で結末をつける可能性です。
もちろん、多くの事柄がこの結果を疎外できました。最もあからさまなのは、ハマスや他の原理主義ムスリム集団の勃興です。もし彼らがはびこるならば、彼らは全過程を打倒し、漸進主義の前提を拒絶することでしょう。
その過程で述べるのはまさに早過ぎますが、私は全面的に悲観主義者ではないのです。この現存する衝突が国内化し得る可能性を排除しません。そうは言っても、誰もそのプロセスがうまくいくかどうか、今日はわからないのです。
MEQ:でも今日は木曜日です。それで、何があなたの悲観的な読み物なのですか?
クラウトハマー:それはもっと長い史的見解を強調します。ガザとエリコでの出来事を見ないで、全体としてのアラブ世界の構造を見なさい。そこでは、市民社会と民主機構を構築する非常に励まされる歴史というものを見出しません。正確に何をパレスチナ解放機構そのものが必要とするか、です。さらに、表面的には共存の基盤、つまりイスラエルの現実であるために何が必要かさえ、アラブ世論は受け入れていると見出さないのです。
もしイスラエルが弱くなり、勢力関連が変わるならば、アラファトが、今得られるものを取っていて、事を進めるにつれて規則を変えるだろうという憶測に影響を及ぼすと、私は感じています。イスラエル破壊という究極の目標を彼が断念することは、戦術的なように見えます。時が来れば、イスラエルが充分に撤退し、非武装をした後、心理的かつ物理的に、彼は掛け金を引き上げるでしょう。
対論がどちらへ行くか。そうですね、パレスチナ人はこれらの夢を持つかもしれませんが、イスラエルの現実と強さが、その夢のどれも結実することを阻むでしょう。そして、働くであろう力の均衡で終わるでしょう、恐らくは。
MEQ:ヨルダンの軌跡については、いかがですか?
クラウトハマー:心理的に、それはイスラエルにとって非常に重要です。というのは、ヨルダンとの和平は、エジプトとの和平よりも、恐らくはもっと温かいものだろうからです。イスラエルは多大に苦しんできましたが、専ら和平の冷たさからの心理的な損害が無視されてきました。それは、より温かな和平というものへのサダトのあからさまな希望の約束と、あまりにも深く対比しました。また、イスラエルの小さな場所です。シナイの否認は、イスラエルに閉所恐怖症的な効果を持ちました。ペトラへの旅あるいはエイラートからアカバへ横切るために、イスラエル人にとって非常に重要でしょう。
他方、ベネルックス型の独立体を形成する話は、私にはいささか馬鹿げたように思われます。異なった段階の発展と同様、イスラエルとヨルダンの間の経済不均衡は、それほど大きな建議にはしません。それは、より安価な労働と安価な農業と競争しなければならないイスラエルを、傷つけさえするかもしれません。
さらにヨルダンは、イスラエルが本当の経済利便を得られたペルシャ湾岸諸国への開通を提供しています。
MEQ:では、シリアは?
クラウトハマー:極めて問題があります。再び、二つの方法でシリアを見ることができます。ひとたびイスラエルがシリアと取引をすれば、アラブ・イスラエル紛争は終わる、とイツハク・ラビンとシモン・ペレスは信じています。アラブ民族主義と拒絶主義という最期の大きな砦が屈服する時、ヨルダンや湾岸諸国や北アフリカのように、レバノンはうまく収まるだろう、と。それ以上に、その地域の心理的および政治的現実において、全くの変化を示します。イスラエルは他と変わらない一国家になります。
このシナリオが正確だったならば、そして正確であり続けるならば、イスラエル人は、シリアと取引を得るためにほとんど何でもすべきでしょう。そして、それが準備すべきことなのです。彼らは、その夢のために究極的な国の安全を犠牲にしそうなのです。
しかし危険があります。アラブ世界はあまりにも不安定で、現状はあまりにも暴力的なので、取引というものが続くだろうと想像することが大変に困難なのです。これは、規則化された権力移行のようなものを持つ、安定した社会や樹立した機関を伴う西欧ではありません。もしイスラエルがそのような諸国に囲まれていたら、ラビン・ペレスの分析は意味をなすことでしょう。しかし、シリアは変われました。そして、恐らくは変化するでしょう。原理主義ムスリムは、多分まもなくアルジェリアで政府をひっくり返すでしょう。恐らくエジプトで一つ、そして、ヨルダンその他で何が起こるだろうか、誰がわかるものですか。それが和平プロセスを転覆することでしょうし、国家安全の極めて重要な構成であるゴラン高原の略奪を、イスラエルに残すことでしょう。
この分析は、結論へと私を導きます。イスラエル人が今熟考しているシリアとの全面取引を求めに行くには、あまりにもリスクが多過ぎる、と。領土譲歩の見返りに、ますます増加する何か、恐らく非交戦状態が、遙かにずっと理に適ったことでしょう。それはイスラエルにとって、壊滅的な国家安全の結果という潜在性を持ったことでしょう。
アラブ・イスラエル紛争におけるアメリカの権益
MEQ:合衆国にとって、和平プロセスにおける利害関係は何でしょう?どのように我々の国益が関与しますか?
クラウトハマー:トルーマン大統領が1948年にイスラエルを認知する有名な段階を取った時、その生き残りに関与したので、ディレンマを作り出しました。 アラビスト達が我々にしつこく思い出させたように、非常に重要な地域で、合衆国は二セットの同盟を持っていると。そして、50年間、彼らは激しく争って対立してきました。極めて重要な地域で、我々は永続する外交政策問題を抱えています。我々の同盟諸国が、少なくとも四度、相互に対する戦争に行ってしまったのです。彼らの紛争を終結することは、合衆国にとって大きな利益でしょう。
それはギリシャとトルコの紛争のようです。一方が熱くもなく、同盟諸国が極めて重要ではないこと以外は。あの問題を終わらせることは、アメリカの権益を発展させることでしょう。アラブ・イスラエル紛争は、ギリシャ・トルコ紛争の二乗です。
これは、アラブ・イスラエル紛争を解決することにおける我々の深い関心を説明します。ソヴィエト拡張主義の問題から全く離れていることに気づいてください。それは、他の考慮全てから自立しています。なぜアメリカの官僚がイスラエルとシリアの間の全面取引を支援し激励するかを、これが説明します。それは、我々の問題を速やかに、最終的に、かなり安価に終結することを約束します。それはまた、なぜ我々が、ダマスカスに第二の家がある国務長官を持っているのかを説明します。
MEQ:パレスチナ国家というものについてはどうでしょう?それは合衆国にとって問題ですか?
クラウトハマー:パレスチナ国家の問題は、1993年9月13日に閉じられました。それに暗示されているパレスチナ国家というものを見ずに、原則の宣言を読むことはできません。労働党の人々による断言にも関わらず、彼らは確かに、あの時、何をしていたかを知っていました。パレスチナ国家以外の何かと共に、ある権限委譲と自治権を含むプロセス、その後の最終地位の交渉というものは、あり得ません。
MEQ:その論理では、メナへム・ベギンが事実上、パレスチナ人のための自治圏を最初に提案した時、1977年12月に遡るパレスチナ国家を受諾しました。
クラウトハマー:まさにその通りです。
MEQ:パレスチナ国家は、その時以来、不可避だったのですか?
クラウトハマー:明らかにそうでした。自治権と主権の間の路線は、単純に引けません。えぇ、自治権のある地帯と充分な主権を欲する分離論者で満ちているロシア連邦の文脈では、それができます。しかし、少数派のエスニシティという諸島に囲まれた1億5000万人のロシア人ですから、それは異なった状況です。そこで中間手段、漠然と張り付いた中間手段として、自治権を見出すかもしれません。でも、どのようにイスラエルは、人口上で圧倒させない一民族を凍結できるのでしょうか?全くその反対に、パレスチナ人は数の上で四十倍か五十倍も優勢なアラブの中核地域に連携しています。これは、私には筋道が立たないように思われます。
私はパレスチナ国家というものに関して、あまりうれしくはありません。というのは、それに伴う大きな危難があるからですが、一定の必然性があります。それでもなお、充分に主権を受諾せずに、その不可避性を受け入れられます。旗と国連議席が不可避ですが、いかなるサイズの軍隊もではありません。ましてや空軍をや、です。それは最終地位の談話で、イスラエルがパレスチナ解放組織と交渉しているであろうものです。主権そのものよりも、むしろ主権の様相です。しかしここで、私は火曜日に戻り、木曜日に悲観主義になるのです。
原理主義イスラーム
MEQ:アメリカの権益にとって、どの程度、原理主義イスラームがもたらす脅威をご覧になりますか?それと共に生きられるのでしょうか、それとも、必ずアメリカ人やアメリカの権益を傷つけるでしょうか?
クラウトハマー:両方です。それと共に生きなければならないので、生きられます。ちょうどソヴィエト共産主義と70年間生きなければならなかったように。同時に、それはアメリカの権益を傷つけるでしょう。なぜならば、自らを文化的に反西洋、政治的に反米だと定義するからです。原理主義イスラームの広がりは、共産主義のスケールではないものの、合衆国にとって大問題を作り出すでしょう。幾つかの要因が、あまり危険ではなくします。
第一に、大国に本部を置いていません。第二に、その信奉者達は核兵器を持っていません。少なくともまだです。しかし、彼らが持つ時でさえ、超大国の潜在力を持たないのです。
第三に、共産主義は常に、共産党と、知識人を含む第五列となる共感的な西洋人を有しました。そのアピールは、内部的かつ外部的に、二重の脅威にしました。昔は、共産党は幾つかの欧州諸国で、議会の多数派を得る寸前でした。あの脅威はイスラームには存在しません。欧州においてさえ、原理主義者達は、人口的あるいは政治的な輸入のようなものを何も持っていません。アメリカのムスリム人口は、あまり原理主義的でも過激化されてもいません。むしろそれは、他の諸宗教のように、全く調和的かつ多元主義的なやり方で、アメリカの宗教的多元主義や暮らしを受け入れています。
崩壊したソヴィエト帝国の堆積物中、世界で残存しているあらゆるイデオロギーの中で、少なくとも我々の生涯で、原理主義イスラームは、西洋に対する深刻な問題を投げかけるように思われる、唯一のものです。それは唯一、世界中でどんな重要性をも持つ、明白な反西洋イデオロギーです。そして、できるところではどこでも、西洋見解や西洋機関や西洋文化を破壊する意味を持ちます。これはイランで発生しました。そして、アルジェリアでも再び起こるでしょう。もし原理主義者がエジプトで権力を取るとすれば、深い地政学的な結果があることでしょう。我々にとって非常に重要な一地域が、結果として生じる多くの諸問題を伴って不安定化するでしょう。ひとたびそれが起これば、我々は自問することになるでしょう。なぜこれについて何年も前に心配しなかったのか、と。我々は心配すべきだったのです。そして心配していません。
MEQ:政策が浮上していると思われますか?心配していないとおっしゃいましたが、アメリカ高官はこの主題に関する多数の声明を出してきました。
クラウトハマー:声明、そうですね。でも私は穏健派を探す概念に関心があります。それはイランで試みたものの再生です。1979年のイランに穏健派がいなかったということを言うのではなく、1789年に遡る多くの革命の中で、革命が空転して横滑りするにつれて、穏健派が、脇に押しのけられるやり方を持っていることが明らかになってきました。彼らは確かに、イランからかなり速やかに消滅し、どこか他でも、恐らくは同じことをするでしょう。もし私が混喩してもよいならば、我々はそんな弱い葦に一政策を賭ける余裕はありません。
西洋の精神には何かがあります。特に西洋の自由主義派には、多元的な精神があります。過激なイデオローグ達が言うところを意味することを信じるのは、不可能だと思うのです。我々は共産主義者あるいはファシスト達を信じませんでしたし、初期には、ホメイニー派を信じることは不可能だと思いました。ですが、これらは彼らが言うことを本当に信じる人々なのです。彼らの行為を節制する試みは、常に失敗します。これらは我々の頭の中の練習です。原理主義者に対する強い反対、彼らに対して立ち上がるムスリム達を強く支援するという政策を、我々は必要とします。
エジプトでは我々の政策がぐらついていないことを、私は喜んでおります。でも、もしエジプト政権がもっと弱くなれば、ぐらつき始めないでしょうか?
MEQ:アルジェリアとエジプトにおける原理主義の反対運動に対する我々の政策には、実に非一貫性があるようです。エジプトでは、政府によって我々はタフで、正しくあります。アルジェリアでは、我々は反対派と対話を求めています。
クラウトハマー:一つの理由は、エジプトでかなり強力な政府の位置づけと関係があります。我々の政策の本当のテストは、簡単に判断できない時に来ます。エジプトは簡単な判断です。なぜならば、正しい側が勝利しているように見えるからです。
MEQ:フランス人は、ほとんど反対の政策を持っています。アルジェリアでは強硬で、エジプトではそうでもありません。多くが危機に瀕しているところでタフな西洋諸国と一緒に、危うくはないところでタフな西洋諸国と一緒ではないという政策は、権益に関連し得るものでしょうか。
クラウトハマー:はい、我々が権益を持つところで我々はタフですし、彼らが権益を持つところで彼らはタフです。フランス人は明確に、アルジェリアで強力な利益を有しています。なぜならば…それは彼らのハイチとキューバが組み合わさったものだと言うかもしれません。そして彼らは、人々を置くグアンタナモを持たないのです(最近、ガボンへ何人かの原理主義者達を追い出したけれども)。フランス人はまた、意固地な方法をもっています。
MEQ:9月のカイロ人口会議で、ヴァチカンが原理主義者と形成した同盟についてはいかがでしょう?
クラウトハマー:あぁ、あれは誇張されました。本当はそれを同盟と呼びたくはないのです。他の何かより、偶然というもの以上でした。ヴァチカンは、中絶や人口管理の問題に関して動かそうとしません。そして、人々が皆、あまりにもフレキシブルな世界で何かを信じるために、それは幾ばくか信用に値します。ムスリム諸国は、日和見主義的な理由のために、ヴァチカンの有利な側に飛び乗りました。教皇は非常に強い文化倫理的な立場を取り、ちょうどたまたま芳しくない同盟を持っています。そして約150に対して一人と劣勢である時、見出せるいずれかの同盟を取るでしょう。
MEQ:それでは、それは宗教同盟の前兆ではないのですね。
クラウトハマー:もし何かあるとすれば、ある前兆です。なぜならば、ヴァチカンは、イスラエルとの関係において何年以上も大変遠慮がちだったからです。そして、常にのろまでした。つまり、本件に関して、どれほど主導的な指標だったかという知見を与えるために、ヤーセル・アラファトの後でイスラエルを認知したのです。ですが、私はカイロをその文脈で見ようとはしていません。
ペルシャ湾
MEQ:ペルシャ湾に話を向けますと、四年後にクウェート戦争をほぼどのようにご覧になりますか?
クラウトハマー:あまりにも早期に止めることによって、根本的な間違いを我々は犯しました。ブッシュが100時間の戦争を公表した夜、私は深く失望しました。不幸にも、我々は我々のいる所にいます。合衆国で今までに発せられた国民動員で最も異常な行為の一つを、輝かしい六ヶ月の政策の後、ジョージ・ブッシュの側が、ある点で気後れしたためです。
しかし、ブッシュとクリントンの両方の人々が、なしえた最高をした後にあの根本的な過ちを犯したことを、私は喜んでおります。クルディスタンで持ちこたえ、フランスとロシアの弱さに直面して非常にタフであり、いたずらをすることです。
どのぐらい持ちこたえられるかわかりませんが、サッダームよりもっと長く持ちこたえる以外に、選択はありません。それは、湾岸戦争に続く必須です。戦争を戦う時、勝利する必然が本当にあるのです。戦場で勝利した時は特に、です。そして今、ある意味で勝利する唯一の方法は、アッラーあるいは他の勢力が世話するまで、サッダームに締め金をつけたままにしておくことです。
MEQ:我々にとって今、それは非常にうまく機能しているのではありませんか?サッダームは隣人にとって深刻な脅威ではありませんし、隣人達は、本当にはイラクを引き離すことはできませんし。
クラウトハマー:その問いには二つの部分を見させてください。第一には、そうですが、それは一貫した圧力の行使によってのみなされます。我々はイラクを流血の傷まで削減してきました。動脈に圧力をかけることによって、適切であり得ますし、我々はそれを適用しています。我々がそれを適用している限り、物事は安定し、適切なままです。しかし、一貫した尽力を要します。問題は、無期限にその尽力を維持できるかということです。合衆国ではできますが、国際的な諸問題が実にあります。そして、もし禁制が叩き壊すならば、他者が妨害するために、我々は本当に頼みとするものがないのです。
MEQ:でも究極的には、どのように彼らは真剣な方法で侵害できるのでしょうか?鍵となる商品は、船で輸出される石油です。もし必要とされるならば、米軍が一方的に防げるものです。というのは、イラクの石油はたった二、三ヶ所から来るのですし、船が大量仕入れするのを我々は防御できたからです。
クラウトハマー:もしそういうことならば、私はフランスのタンカーあるいはロシアのタンカーが沈んでいるとは見ません。
MEQ:でも、制裁が解除されるまで、フランス人とロシア人はイラクの石油を引き取らないでしょう。多分、ご心配は制裁の妨害ではなく、安全保障理事会による解除ではないでしょうか?
クラウトハマー:その通りです。国連でそれを失うことを意味しているのです。石油の密輸人の一つや二つは、何ら相違をなすことがありません。国連で堅持することが挑戦なのです。それは一貫した圧力を要請するでしょう。
さて、ご質問の第二の部分です。行くところまで行ってしまい、政府を破壊し、国を粉砕し、ひょっとしたらその分割へとつながるかもしれないよりも、これはましではないか?イラクとの戦争の間、一人の友人が、これはよい結果になるかもしれないと言いました。というのは、冷戦後における攻撃のペナルティは、死であり消滅であると、世界に示すだろうからです。それは有益な結果だったかもしれません。ドイツに関して、第二次世界大戦後にフランソワ・モーリヤックが感じた方法を、イラクに関して私は感じています。あまりにもその国を愛していたので、その二つがあったことを彼は喜んだのです。
しかし、イラク分割が中東における我々の立場を複雑にするだろうという懸念が、打とうとした我々の手を止めました。というのは、もっと小さくもっと弱い国家(例えばクウェート)が空洞を作り出し、より大きな諸国がそれを満たす誘惑があります。それでもなお、それは、今の場合のように現存する秩序を打倒するために全体で献身した過激な国家よりも、好ましかったことでしょう。
民主主義
MEQ:民主主義は中東以外のどこでも偉大な制度であるという、中東の例外主義という概念に与されますか?と言いますのも、そこで誤った人々に民主主義が権力をもたらすからですが。
クラウトハマー:当惑させられると認めます。世界の諸地域全体で、なぜ、この地域が民主主義というウイルスに最も免疫があるのですか?
MEQ:そうですね、なぜそれが発生していないのかというよりも、なぜ、それが起こるのは良い考えなのでしょうか?我々は、アルジェリアでのように、悪い人々を得そうになっているのでしょうか?
クラウトハマー:民主主義と世論表明をする権威主義の間に線引きをします。つまり、一時に一人一票です。それが本質的にアルジェリアで展開してきたであろうものです。あるいは、ご存じのように、非常に限られたイデオロギーの束縛内部で一定の選択がある、イスラーム共和制の類いです。それは、私が民主主義と呼ぶものではありません。ジャン=ベルトラン・アリスティドにハイチでの民主主義の再樹立を頼るも同然-馬鹿げた考えです。
民主主義は、法の支配、平和的な権力移行を意味します。全ては市民社会という名によっていくのです。市民社会は、アラブ世界では非常に発育が妨げられているように思われます。世論表明をする権威主義を支援し、民主主義において権力を止めることに関心のない全体主義者その他を招聘することは、我々の側で大間違いでしょう。
民主主義を信じる者として、1992年の総選挙の結果をアルジェリア軍が打倒したことは、1933年にドイツの総選挙に挫折したのと同様に、私にはもはや問題がありません。民主主義を信じていない主要政党のうちに、民主主義を持つことはできないのです。ロバート・ジャクソン判事の言葉を言い換えれば、憲法は心中の約束ではないのです。
偶然にも、私はこの同じ基準を合衆国に当てはめています。1930年代やその他の時代に、民主制度に共産主義者やファシストが参加する権利について、猛烈な討論がありました。えぇ、彼らが無関係で権力に到達する機会が全くない限り、確かに、望むことを何でもさせましょう。でも、彼らが脅威になるや否や、したたかに打ちのめします。民主主義というものは、それ自身を保護しなければならないのです。
不幸にも、それがアラブ世界で流行している見解なのです。我々は、総選挙そのものではなく、民主機構、市民社会、民主主義的志向の諸政党等という状況を養っていくべきです。それが、民主主義の種を養う世界の他地域で、全米民主主義基金や米国労働総同盟産別会議その他がしてきた種の仕事です。それは、アラブ世界でも我々の民主主義政策であるべきなのです。単に総選挙を支援することは、全く意味をなしません。
クリントン政権の政策
MEQ:現行のアメリカ政策についてはいかがでしょう?中東は、クリントン政権の外交政策の成功物語だと言われてきました。同意されますか?
クラウトハマー:心から同意しますが、外交政策の残りについて私が述べてきたことを考えれば、ひどく高い賞讃ではないと、告白しなければなりません。
MEQ:さらに具体的には、クリントン政権が正しくしてきたことは何だったのでしょう?
クラウトハマー:三つの非常によいことです。第一に、多くのことが束縛と関連があります。ビッグフットには、参加してそれ自身を強制する大きな誘惑があります。しかし、そうではありませんでした。例えば、オスロでのパレスチナ解放機構とイスラエルの合意は、合衆国抜きでなされました。それは、クリントン政権から何も取り去りません。さらに、イスラエルとパレスチナ解放機構の間の紛争を解決するために、オスロの結果を大変うまく取り扱いました。それは乱入しませんでした。その間中、それそのものを間に挟む誘惑に抵抗しつつ、本当に、当該二者に交渉の成功を作らせるという政策を採用したのです。当該者達に、彼ら自身で核となる諸問題を選り抜くことを許しました。
第二に、当政権は、アラブ・イスラエル紛争のような問題において、超大国がなすべきだとされている仕事をしてきました。つまり、周辺の警察です。これによって、イラクやイランを志向したペルシャ湾での、我々の二重の封じ込め政策に言及しているのです。警察官は、二つの論争中の当事者(イスラエルと直接の隣国)をサロンで取引させて、悪い奴らの外で街の中に怒鳴って入り込み、その場全体を吹き飛ばさないことを確かにするために、通りをパトロールしています。二重の封じ込めは、それそのもののためのみならず、和平プロセスにとってもまた、非常に重要でありました。核となる関係者(イスラエル、パレスチナ人、エジプト、ヨルダン人) に、彼らを取り巻く地域が爆発しないだろうという感覚を与える方法で、我々は行動してきました。
第三に、イスラエルが交渉で支援されているという自信を持つ、うまくいく諸交渉のために、それは絶対的に必須条件です。というのは、本当の具体的な現場の国家安全譲歩をするために期待された、唯一の当事者だからです。それが要請するのは、偉大な支援者が共にあるという感覚であり、取引が完成できるように、譲歩をするよう圧力をかけることではありません。イスラエル人にこの点を再保証させ、労働党政府との大変調和的な関係を発展させることによって、あの政権はまさにこれをしてきました。それは、他の政権が忘れてしまった非常に重要な点です。ブッシュ政権はイスラエルに非常に強く圧力をかけたので、同時にイスラエルに譲歩をするよう、期待できなかったことでしょう。それは単に発生し得ないのです。
MEQ:批判は?
クラウトハマー:アルジェリアで軽い無定見があります。シリアの合意に熱狂し過ぎたことは、ウォーレン・クリストファーの個人的な将来と少し混同させられた行程です。彼は、経歴のためにこれに大きな利害関係を持っており、交渉の成功と自身の立場の間で混乱が展開する時、私は心配しています。少し合衆国の関与を余り好まず、サダト・モデルの方をもっと私は好みます。そこでは、エルサレムへのサダトの訪問という偉大な突破口まで、エルサレム、イスラエル、そしてエジプトは、専ら自分自身のものでした。その後になってのみ、合衆国が重く入り込んだのです。特に詳細が働くよう、助けるためです。もし合衆国が、エルサレムへの旅のために触媒であろうとしたならば、あの出来事は決して起こらなかったかもしれません。
MEQ:同じことが、思うにノルウェーでのパレスチナ人とイスラエル人の接触にも当てはまるのでしょうねぇ。
クラウトハマー:まさにその通りです。何かを達成を強制しようとすることによって、イスラエルとシリアの間は実らないかもしれません。維持できないかもしれないプロセスというものを、人工的に押しているのかもしれませんね。
民主党員と共和党員
MEQ:今、クリントン政権を賞讃し、ブッシュ政権に批判的でいらっしゃいます。中東において、共和党員あるいは民主党員、保守派あるいはリベラル派の政策で識別可能なものがありますか?
クラウトハマー:ある程度までは、そうです。ユダヤ人は、民主党構成員の非常に重要な一部です。それで、彼らは政治にもっと関与するのです。そうすれば、共和党よりも、単にその構造の性質によって、イスラエルのもっと同情的な見解が民主党政権から来ることを期待するだろうからです。ロナルド・レーガンは、それを超越しました。なぜなら彼は、イスラエルやカリフォルニアで知っていたユダヤ人に個人的な親近感を持っていたからです。この点で、彼を大変非常に民主党員のようにしています。これは重要です。なぜならば、中東の合衆国政策は、大半が大統領の経験と個性の機能だからです。
一方、民主党員は、外交政策についてあまり現実的な見解を持っていません。 彼らは突破口という約束、あるいはイスラエルとシリアの取引のために提供されたもののようなユートピア幻想に直面して、より恍惚としがちです。結局、これらの傾向は、自身の帳尻を合わせるのです。
ワシントンのロビー
MEQ:イスラエルを代表して、活発なアメリカのユダヤ人に言及されました。彼らは、中東問題のために働いている唯一の国内集団ではほとんどありません。他の重要なロビーには、アルメニア人、ギリシャ人、レバノン人、そしてサウジ人が含まれます。事実、中東は恐らく、海外事情をロビーする活動の非常に不均衡な分け前を鼓舞しているでしょう。これは何か肯定的なものですか?アメリカ人が活発に外交政策に従事することですが。それとも、否定的なものでしょうか?付与された利益が国益の客観的な追求を遮断している、と。合衆国政策は、外交政策におけるこの民主的要素にとって、ましでしょうか、それともより悪化しているでしょうか?
クラウトハマー:過去50年以上の中東を見なさい、そうすれば、我々がかなりうまくやったとわかるでしょう、と私は申します。それは偉大な成功物語です。我々が中東で今日こんなに強い地位を持つであろうと、1947年に誰が予言したでしょうか? 確かに、ソヴィエト連邦の内破を含めて、幾ばくかの幸運がありましたが、基本的に我々は、それ以前に偉大なゲームの道に勝利してしまったのです。少数のならず者国家という例外はありますが、中東の主要諸国は、全て合衆国に友好的ですし、我々の目的に共感的です。
興味深いことに、一つの主要な間違いは1956年から57年でした。ドワイト・アイゼンハワーがイスラエル人達に、シナイをガマール・アブデル・ナーセルに返還するよう強制した時です。アイゼンハワーでさえ、私は聞いていますが、晩年にこの手段を後悔しました。世論を物ともせず、行動する大統領による不可抗力の行為が、ここにはありました。彼が自分で宣言した原則によって行動する代わりに、です。それで、幾分奇妙な方法で、かくあるべき方法で民主主義が機能しているのです。奪い合っている派閥は、どういうわけか中東における驚異的な成功だった外交政策へと結びついてしまいました。
MEQ:それでは、民主主義は、国内政治と同様に海外でも機能し得るのですね?
クラウトハマー:ここからそこまでどのように行ったか、そのメカニズムを言うことはできませんが、我々はそこにいます。そして、遠くから当該地域を見ると、基本的に今、アメリカの影響圏内にあります。
それは全くの達成なのです。