ルー・ダブス(司会):次は、サッダーム・フセインに対して始まった戦争後、専門家がテロリストの反動について差し迫った予測を発しているという話題です。続きまして、『戦闘的イスラームがアメリカに到着』の著者であるダニエル・パイプスさんがスタジオに参加し、反動は浮上しないだろうという彼の予測がなぜ正しかったかを説明されます。
(コマーシャル)
ダブス:次のゲストは、サッダーム・フセインに対する戦争とアフガニスタンでの米軍の行動が、アル・カーイダの動きと新兵募集を切り落としたとおっしゃっています。著名な中東専門家で『戦闘的イスラームがアメリカに到着』の著者ダニエル・パイプスさんが、フィラデルフィアから出演されます。ダニエルさん、ようこそ。
ダニエル・パイプス:どうも、ルーさん。
ダブス:早くから正確に予測なさいました。敵対のうちにある種のアラブ通りの反動があるだろうと示唆することは不正確だ、と。できましたら、なぜ当時、そのようにお考えになったのか、教えてください。
パイプス:そうですね、短い答えとしては、実のところ私は、ただ1991年からの覚え書きを取り出して使ったのです。同じ予測をした時です。当時は正しかったのです。そして、2003年にも正しかったのです。恐らくは、今からもう12年後も再び正しいでしょう。基本的に、アラブ通りが蜂起するだろうというこの考えは、アラブ人が(その他の人々とは対照的に)敗北している時、かえってますます行動を取る傾向にあり、テロに従事し、政府を転覆するという、対抗論理の概念を基礎としています。でも、それは彼らと共にあるか、その他の誰かと共にあるかという事例ではありません。彼らは我々の残りのような人々です。
ダブス:おっしゃったように、アラブ人が敗北している時、サッダーム・フセインの敗北はアラブの敗北だったとアラブ人が考えていると思われますか。
パイプス:私が見てきたあらゆる報道は、カイロのカフェー、モロッコの政治サロン、アラブ世界中で、アラブ人がここで戦いに負けたという感覚があるということを示唆しています。サッダームに対する多くの支持がありました。個人としての彼のためではなく-あるいは、少なくとも英雄的な方法で多国籍軍を阻止し、戦い敗北した一人のアラブ人として-です。
ダブス:世界中である種の汎アラブ見解があるという考えは、ダニエルさん、私個人は疑わしいのですが。中東諸国の大半に共有されている共通性の領域とイスラーム教を私は充分理解していますが、ほとんど全ての中東諸国が、しかし同時に、中東の特定の知識階級や学究人やある種の(注:聞き取れない)ジャーナリスト達を越えて、アラブ国家とこの世界の汎アラブ見解に関する証拠がないようです。それが本当に存在すると、なぜお考えなのですか?
パイプス:そうですね、いえ、私から議論を得ようとなさらないでください。同意いたします。おっしゃる通りです。これを元に戻すものは、アラブ主義、汎アラブ主義が、非常に人気があり強力な概念だった1950年代と1960年代の感覚です。それに対抗して論じることが信用されず、力を持たなくなって以来、長く経ちました。いえ、そうではありません。でも、分析家の間では、一種のブギーマンであることが続いています。そして、人々はそれが活気を呈することを期待しているのです。
ダブス:それで、国のメディアにいる我々は、あまりにもしばしば、恐らくはあまりにも多くのサービスと信用を与え過ぎ続けているんでしょうねぇ。ここでのわくわくする肯定的な機会の一つは、明らかにイラクに実際に存在するそれらの衝動を強化することです。自治政府のために、代表のために、公平な政府のために、米国や多国籍軍は、そのような政府を建て上げ、そのような情勢にとっての一条件をつくることにおいて、どのように成功するだろうとお考えですか。
パイプス:よいご質問です、ルーさん。そして難問でもあります。あちこちに及んでいます。私には楽観的かつ悲観的な気分があります。
ダブス:はい。
パイプス:私はインティファーダというものを懸念しています。もしあまりにも長くそこに留まれば、米軍に対する蜂起があるのではと心配しているのです。そして、あまりにも早く去るならば、無秩序が心配です。ちょうど元通りに始末をつけるためのこの復興を監督しているポール・ブレーマーさんやその他の人々にとって本当の難題になるでしょう。ご幸運を祈ります。それほど困難な課題なのです。
ダブス:クリストファー・ヒッチェンズさんは、それは高潔な賭けだと言及し、私も共鳴しています。いかがですか?
パイプス:えぇ、えぇ。それは-それは大博打ですね。私は楽観的です。同時に、あまりにも多くの諸問題の原因もわかります。
ダブス:確かに。もう一つの高潔な賭けは、お望みならば、先週公表されたロードマップに関して、イスラエル人とパレスチナ人の両サイドに要請されるであろうものです。どの程度、望みありですか?
パイプス:ルーさん、それほどでもありませんよ。パレスチナ人に心の変化と私が呼ぶものが必要だと信じています。交渉の前に、真の永続するイスラエルの承認というもの、真の永続する暴力の放棄というものが、本当に建設的な相違をなすことができる、と。
ダブス: マフムード・アッバースさんについて、強く効果的な指導者だと思われますか。
パイプス:そうかもしれませんし、そうでないかもしれません。実は確かではないのですが、前提が置かれているとは、まだ思いません。別の言葉で言えば、国家としてのパレスチナ人達は、指導者の声明に関わらず、イスラエルが永久の現実、普遍の事実としてそこにあるという結論に至る必要がありますし、それに対して暴力を行使する願望を持ってはならないのです。私にはそれが重要です。
ダブス:ダニエルさん、もしテロの放棄とイスラエルの承認が宣言されるならば、イスラエルはどちらにあるでしょうか。今日のイスラエルでしょうか、それとも1967年境界線でしょうか。
パイプス:ひとたびパレスチナ人によってイスラエル国家というものの現実や永久の暴力放棄に真の折り合いがつくならば、交渉が真実に建設的に始まり得るでしょう。私は、どのように現れるだろうかを語る立場にはありません。その時点で、国境線のみならず他の問題-エルサレム・水・軍備・誰がどこに住むか、これらの複雑な問いすべて-を議論することは、よい考えだとは思いません。今は時期尚早なのだと考えています。まだ必要なのは…。
ダブス:ダニエルさん、前の言葉の方がいいですよ。そこでやめなければなりませんが、いつもお話できてありがたいです。
パイプス:ありがとう。
ダブス:ダニエル・パイプスさん、いつも楽しいお話をありがとう。
パイプス:どうも。