パレスチナ難民の管理に仕事を割り当てられた組織である国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の酷評家達は、その罪業に焦点を当てる傾向にあった。キャンプはテロリストの避難所である。官僚制度は膨張し、給与総額は過激派達を含む。学校は煽動を教える。登録は詐欺の悪臭を放ってのたうつ。諸政策は被害者メンタリティを奨励する。
今では食料分配はUNRWAが費やす小さな一部分を構成している。 大半は教育や健康に関わっている。 |
さらにUNRWAは、ヨルダン、シリア、レバノンの市民権を与えられた(UNRWAの受益者達の40パーセントを占める)200万人近くの人々がまだ難民であると主張することによって、UNRWAは難民協約違反をしている。
このような実践の結果、再定住や自然減を通して下がっていく代わりに、UNRWA難民の人数は、1949年以来、75万人からおよそ500万人まで着実に増加してきた。この分では、キャンプや学校が、際限なく、イスラエルの先祖の家にいつかは「戻る」だろうと、これら何百万人もの子孫達に無益な夢を促進しつつ、UNRWA難民は2030年までに800万人、2060年までには2000万人を超えるだろう。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース議長でさえ、500万人のパレスチナ人達を送り返すことは「イスラエルの終焉」を意味すると認める時、UNRWAが紛争解決を妨害していることは明らかである。
イスラエル政府の役人達は、UNRWAが難民問題を永続させていることに充分気づいている上、その罪業も充分よく知っている。とはいうものの、イスラエル国家は、UNRWAと協力関係にあり、特定のサービスを満たすよう意を配っている。
イスラエルの協力政策は、エルサレムが「UNRWAの業務を促進する(ために)…イスラエル当局と完全に協力」することを約束したコメイ・ミシェルモア交換書簡と共に、1967年に始まった。この政策は、非常にしかるべき所に残っている。2009年11月に、イスラエル代表は、1967年書簡「理解を継続した言質」と「UNRWAの重要な人道的使命」の支援を追認した。彼は、UNRWAとの「密接な協調」を維持すると約束さえした。
ベトレヘム近くのデヘイシェ難民キャンプのUNRWA学校の壁にあるパレスチナ人の自爆テロ者であるアヤート・アル・アクラスの壁画。このような煽動にもかかわらず、イスラエル政府はUNRWAの業務を閉鎖しようとしたがらない (写真: Rhonda Spivak) |
充分に情報に通じたイスラエルのある役人が要約したところでは、UNRWAは、持続されなければならない「民間のパレスチナ住民への人道的援助を供給する重要な役割」を果たしているという。
このことが、イスラエルの海外の友人達がUNRWAへの出資をやめようとする時に、なぜエルサレムが警告を促すのか、あるいは、これらの努力を妨害さえするのかを説明している。例えば、2010年1月に、カナダのハーパー政府が「パレスチナ自治政府における説明義務を確実にし、民主主義を育成する」ために、援助をUNRWAからパレスチナ自治政府へ切り替えると公知した。その助言に「政府は耳を傾けた」と、カナダのユダヤ人文化教育促進協会は誇り高く報告したものの、カナダ人外交官達は、カナダ人達がUNRWAに資金援助を再開するよう、エルサレムが密かに要求したと述べた。
別の例である。2011年12月に、オランダの外務大臣が、政府はUNRWAに対する政策を「徹底的に見直す」だろう、と述べた。後になってやっと腹心達に、エルサレムがUNRWAの資金だけを残すよう彼に頼んだと語った。
我々は、次の問いへと導かれる。イスラエルにとって役立つUNRWAの要因は、難民の地位を永続させることなしに保持することができるだろうか。
できる。だがこれは、永久に「難民」を生み出す役割と、社会サービス機関としてのUNRWAの役割との識別を要請する。難民として孫達を登録する慣行とは対照的に、UNRWAの統合された有資格および登録指示のIII.A.2項とIII.B項は、難民としての定義づけなしに、パレスチナ人達に社会サービスを供給することを許可している。この条項は既に施行されている。例えば、西岸では、2012年1月にUNRWAに登録し、そのサービスを受ける資格のあるパレスチナ人達の17パーセントが、難民としてリストに上がっていなかった。
自動的に反イスラエルが多数派を占める国連総会へのUNRWA報告を考えれば、UNRWAの実践における変化を命令することは、ほとんど不可能である。しかし、米国政府をはじめとして、主要なUNRWAの資金提供者達は、難民の地位というUNRWAの永続化を成し遂げることはやめるべきだ。
ワシントンは、社会サービスを与える道具としてUNRWAを扱うべきだ。それ以上ではない。一度も追い払われたこともなく、他の国々で既に市民権を持っていたUNRWAの受益者達は、恐らくはUNRWAのサービスの資格があるのだろうが、難民ではないのだと、ワシントンは主張すべきだ。この識別を打ち立てることが、アラブ・イスラエル関係における重要な刺激物を減少させるのだ。
・スティーブン・J・ローゼンは中東フォーラムのワシントン・プロジェクト長。ダニエル・パイプスは中東フォーラム会長。