バーナード・ルイスは『セム族と反セム族』(1986年)において、ユダヤ人に対するムスリムの態度は、19世紀に西洋の影響下で大きな変化を経験したと論じてきた。対照的に、ネットラーが強調しているのは、イスラームの起源から現在までの態度には継続性があるということだ。彼は、中東における反セム主義の昨今の流露を、長期に及ぶイスラームの教義と現今の焦眉の急の混合にまで跡づけている。その結果は、イスラエルとの紛争を深化し、限界を超え、活気づける「空前の憎悪の鋭敏な激しさ」である。
ネットラーはエジプト人思想家のサイード・クトゥブ(1906-1966年)を、古代と現代の融合の鍵だと考えている。それ故、クトゥブの著作『過去の試練』の分析に加えて、クトゥブの随筆『ユダヤ人との闘争』の翻訳を含めている。ネットラーがこの小さな研究に詰め込んでいる知識と洞察という富は、ムスリムとユダヤ人の関係という議論における、末永く続く重要性を確実にしている。